育児で身につくスキルと習慣:スキル編(前半)

仕事・キャリア

「育休を取って仕事から離れると、キャリアの空白期間ができてしまうのが不安」というのは、多くのキャリア女子にとっての悩みなのではないでしょうか。

私自身、育休をどれくらいの期間取るかについては散々悩みました。やはり長く休めば休むほど、仕事から遠ざかってしまう。単なる収入面の不安だけではなく、キャリアディベロップメントや自己実現という点で、不利になってしまうと思うからです。

数年前、オンラインメディアで金融系の仕事に携わる女性の育児体験についての記事を読みました。育休取得前は金融機関の管理職でバリバリ働かれていた方です。育休を取って毎日一生懸命子供のためにお弁当を手作りしたり、手を尽くしていたにも関わらず、お友達の前で子供に「ママはお家のことをちょっとやってるんだ」っと言われたことでショックを受けて、あっという間に仕事に復帰した、とありました。

もちろん、産後、子供を保育園や家族やナニーに預けて仕事に即復帰するのは一つの選択肢だし、そういう人を格好いいと思う面もあります。ただ、この話を読んで著者は少し残念な気持ちになってしまいました。育児だって立派な仕事だし、そもそもそれ以前に、しっかり育休を取って子供と過ごす、というのも立派な選択肢なのではないかと思うのです。

かけがえのない我が子との幸せな時間そのものを満喫することは、決して悪いことではない。なのに焦りや働いていないことに罪悪感を感じる。子供にとっても、自身にとっても、一緒に赤ちゃん時代と共に過ごせることは一度きりの人生の中でとても貴重で幸せなこと。明白なようで、堂々と育休を取るのは簡単ではないのではないでしょうか。

著者は、迷いながらもこの考え方には一理あると思い、2年の育休を取得することを決めました。今日は、育休をどれくらい取るか迷っている人、取りながらも焦りや不安を感じている人のヒントになればと思い、著者が実体験を通じて発見した、「育児という仕事を通して身に着けられるスキルや習慣」を前半(スキル)と後半(習慣)の2部に渡ってお伝えしていきます。

身につくスキル①細切れ時間の活用と集中力

子供が生まれて一番変わるのは、とにかく自分自身にかけられる時間が無くなる、ということ。いつか一度計測してみたいと思っていますが、体感だけでも子供が生まれる前と比較して今は、自分のことができる時間は2-3割程度になりました。その時間に事務作業や人との連絡が入ったりすると、それだけで一日が終わります。

なので、どうしても達成したい目標を立てると、そこに向けて具体的な計画を立て、徹底的に集中して育児の合間の細切れの時間を使うしか方法がありません。

著者は育休取得をきっかけに資格試験の勉強を始めましたが、勉強時間は一日2時間取れれば良い方なので、勉強前にだらだらする余裕はありません。時間ができたら一気に集中して、終わらせる必要があるので、勉強する前にだらだとお茶を飲んだりSNSをする「嫌々時間」を退治することができました。

身につくスキル②チームプレーとリーダーシップ

こちらも自分時間の減少と関係しますが、とにかく育児が始まると時間も余裕もなくなります。今までできていたことができない。家の隅々まで掃除する時間がない、ごみを捨てに行く時間がない(離れたゴミ捨て場までゴミ袋をもって子供を抱えていくのは困難極める)、等々。そういった状況に置かれたとき、今まで自分でやっていたことを誰かに頼らなければ物事が回らなくなりました。

そして、子供の成長はあっという間で、月齢・年齢に合わせて自分自身が学びながら対応していかなければなりません。子育ては、仕事内容が目まぐるしく変わります。全力で走りながら考えて、実践していくのが育児です。

著者の夫の場合は、自分も育児の当事者として参加してくれていますが、そうはいっても子供のことを四六時中見ているわけでもなければ、会社で仕事をしながら月齢ごとの成長のポイントやお世話のポイントを一つ一つ学ぶには限界があります。

こうして振り返ると当たり前のことなのですが、子供が生まれてからスムーズに育児の流れを家族で作るのには、数か月かかりました。なんで分かってれないのか、当たり前だろう、自分で調べろよ、などなど。夫婦ともに初めての子供で、他人の子の子育てを近くで見た経験もない二人にとっては、全てが未知で、新しく学ぶことなのです。そして夫婦どちらもこれまであった自分時間を大幅に削ることになるので、新しくインプットできる量も限られてくるのです。

日々の生活を回す、という目的が全く容易ではなくなる。それが育児。協力してくれる人を見極めて、上手に巻き込む。日々の生活を何とか回していく。

そういった状況で効率的に物事を進めて、全体のゴールを達成しようとすると、全員が同じだけの知識を得て気づいた方が実践していくのは、限界があることに気づきました。家族の中の誰かが、リーダーの役回り、それ以外の人はチームメイトという役割分担をして、リーダーはチームメイトを戦力化し、全体像の把握・優先順位付け・納得のいく説明と具体的な指示をして回していく、という工夫が必要でした。

まさに仕事で行くリーダーシップとチームプレーそのものですね。

身につくスキル③身の回りで起こっていることの自分事化(想像力の向上)

子供ができて意識として変わることの一つに、危機管理能力があります。

子供が転ばないか、やけどしないか、手を挟まないか、などといった身近な危険はもちろんですが、不思議なことに自分のことだけを考えていた時には重要だと思わなかったことにも、こと「この事件に自分の子供が巻き込まれたら」、「この制度変更で自分の子供が対象の年齢になったら」、と身の回りの出来事や、社会の変化が自然に、ぐっと身近になります。

これまでは自分の専門分野から離れすぎてよく分からなかった政治・経済のニュースでさえ、自分の子供にどんな影響がありうるのか、という観点から想像し、リスクを察知したり、対応を考えるようになりました。それは言い換えると、あらゆる出来事に関心を持つようになり、自分の子供を通してその出来事を理解し、判断するということを自然とするようになったということです。

かつて「つまらない」「よくわからない」と思って聞き流していた出来事を、立ち止まって考える、思い込みで判断せず情報収集してより理解を深める。想像力も同時に培われていくようになるのはそういう努力をするようになるからではないでしょうか。

以上が身につくスキル編でした。3つのうちどれも色んな仕事に活きそうですよね。

明日は、身につく習慣についてお話したいと思います。

ではまた!

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